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イメージの沸きやすい文章を書く方法

今回のテーマは、「イメージの沸きやすい文章の書き方」です。

小説を書いていく以上、やはり読者様から「場面のイメージが沸いてきました」「すごく臨場感がある」といった感想を頂きたいものですよね。

そういった文章を書けるようになる為に大切な事を考えていきたいと思います。

 

さて、ではそもそも「イメージが沸く文章」というのはどういうものを言うのでしょうか。

まず「文章から何をイメージするか」を試してみたいと思います。

 

例1 :「僕は、夕暮れに公園で座っていた」

 

こういう文章を見かけた時、あなたは一体
どんなシーンをイメージされたでしょうか。

映画を観ているように、その場面を映像にしてみて下さい。

…イメージされましたか?

それでは考えていきましょう。

上の一文を読まれてイメージした場面では、
まず読者の頭の中に、夕暮れの公園が浮かんでいるはずです。

「夕暮れの公園」と一言で表現しましたが、
ここがクセモノです。

公園と言っても、それは一体どの程度の大きさで、
どういった物があり、どういった雰囲気の公園なのか。

それは読み手が100人いれば100通りの答えがあるはずなんですね。

しかし。

確かに100通りの答えがありますが、その中には、
ある程度の共通部分」があるはずです。

例えば、上の例の文章で言うならば、
大半の人が頭の中で、木や草のある場面を連想されているかと思います。

また、地面は砂で、街灯もある事でしょう。
(「公園」と聞いて、草木一本も生えていない、コンクリートの駐車場のような
 場所を連想される方は少ないですよね)

ここまでは、ほぼ大半の方が同じようなシーンを
イメージされておられるのではないかと思います。

更に続けます。

「公園」という言葉のイメージから、
ブランコや滑り台を連想しておられる方もおられる事でしょう。

ただし、先ほどの木や草ほどに、多くの方が連想しているかと言えば、
これは少し疑問ですよね。全員が全員、ブランコと滑り台を
連想しているとは思えません。

また、「座っていた」という表現から、かなりの確率で
ベンチを連想された方が多いでしょう。

ただしこれも、花壇に座っていたり、ブランコに座っているシーンを
連想される方がおられるかも知れませんので、
「大半の人がベンチをイメージしたに違いない」とは言い切れません。

更に突っ込んでみますと。

大きな公園の傍に住んでおられる方や、頻繁に大きな公園へ行かれている方なら
噴水や池を連想された方もおられるかも知れません。

逆に、都会に住んでおられる等の理由から、
ビルとビルの間にある、小さな寂れた公園を連想された方なら
古びたフェンスを連想されているかも知れません。

しかし、こういった噴水や池やフェンスは
全体から見れば、一部の方が連想されただけの可能性が高いと言えるでしょう。

こう考えてみますと。
一言に「公園で座っていた」という表現でも、どれだけの確率で
連想されているかをまとめますと、以下のような
形になる可能性が高いかと思います。

 

1.大半の方が連想   :木、草、砂、街灯

2.割と多くの方が連想 :ブランコ、滑り台、ベンチ

3.一部の方が連想   :花壇、噴水、池、フェンス

 

調査をした訳ではありませんから、
「必ずこうなる」とは言い切れません。

しかし、ある程度こういった傾向がありそうだ、という予想は出来ますよね。

それを踏まえて、文章をどうするか。そこを考えていきたいと思います。

 

■文章は連想ゲーム。連想させる力の強い言葉が効果的です。

「僕は、夕暮れに公園で座っていた」という文章の後に、
「その公園には、○○と××があり、子供達が戯れていた」
という文章が続くとしましょう。

その場合、この○○と××には、どういった言葉を入れるのがベストでしょうか?

まず言える事。
それは、「1.大半の方が連想」のランクに入っている
木、草、砂、街灯などは省く方が良いでしょう。

これらは、あえて書かなくても大半の方が連想されていますから、
イメージを沸かせる、という効果よりは、「再確認」の意味合いが強くなります。

イメージを具体化するための言葉としては、
あまり効果的とは考えられません。

逆に、
「2.割と多くの方が連想」のランクに入ってるブランコ、滑り台、ベンチや、
「3.一部の方が連想」のランクに入っている花壇、噴水、池、フェンス。

こういった言葉は、イメージをしていない読者様が多くおられますから、
この言葉を使う事で、読者様の頭の中に、新たなイメージを
追加する効果が期待できそうです。

2と3には幾つかの言葉がリストアップされていますが、
この言葉の中でも、私個人的には「噴水」や「池」などは
特に効果が強いかと思います。

と言いますのも。

読者様の中には、小さな公園をイメージされた方もおられれば、
大きな公園をイメージしておられる方も多くおられます。

「噴水」や「池」など、大きな公園でなければ
なかなか設置していない物を表現として追加しておくと、
小さな公園を連想しておられた方の頭の中では、

「あ、いま連想してる公園の大きさでは、池は無理だ(入らない)。 じゃ、この公園って、大きい公園なんだ」

と、(無意識に)イメージの修正が行われます。

こうしますと、
読者様の中に「小さな公園を連想した方」と「大きな公園を連想した方」の
2グループが存在していたのが、ほぼ大半が「大きな公園を連想した」へと
統一される事になります。

 

しかし。

この表現の中では、「この公園は大きかった」という文章は使っていないんですね。

「大きい」という言葉を使わずに公園の大きさを表現し、しかも、池があるという事まで表現できる。

「池」という言葉を使うだけで、2つの効果が現れて来ますよね。

これはあくまで「公園」という一つの例をとってお話しましたが、
「イメージが沸く文章」というのは、こういう効果を上手く使っている文章が多いように思います。

文章というのは、連想力が命です。

小説の書き手は、既に頭の中にある程度のイメージがありますから、
それを表現しようとして文章を書きます。

しかし、読み手(読者様)の頭の中には、書き手と同じイメージはありません。

書き手と読み手で、イメージしているものが違うのですね。
それをすり合わせていくのが、文章です。

小説を書く側は、まずは自分のイメージしているものを
表現しようとして言葉を選びます。

しかし、実際は読み手の頭の中には、あなたと同じイメージがありませんから、
「自分の書いた言葉から、どういうシーンがイメージされそうか」
という事を、頭を空っぽにして(いま自分が持っているイメージを捨てて)読み直す事が大切なんですね。

先ほどの公園の例のように、
「草や木はイメージしてくれているだろうな。でも、池はどうだろう。自分は大きい公園をイメージしているけれど、読者様は本当に大きな公園をイメージしてくれているんだろうか」
というように、
「相手(読者様)が、自分の文章をみて何をイメージするか」を、きちんと想像してあげましょう。

こうする事で、あなたの頭の中と読者様の頭の中がぴったりと一致してきます。

こういった状態になりますと、場面が活き活きと浮かんできますし、
あなたが伝えたい、そのシーンのニュアンスが
ちゃんとした正しい形で伝わる事にもなるんですね。

イメージの沸かせ方で迷っておられる方は、
ぜひ、お試し下さいね。