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曖昧な表現を上手くいかす方法

このサイト内の他記事でも何度か書いていますように、ひとつの文章からイメージされるものは読み手によって全く異ります。

これは、読み手がどういう人生経験をして来られたかによる部分が大きいのですね。

東京のど真ん中で生まれ育ち、他の地方へ出た経験がほとんどないという方に
とってみれば、「地方の静かな駅」というのは、TVで見たイメージしか
浮かんでこないのが自然です。

この逆もまた同じですよね。

そして、人は言葉を見た時に、自分の知っている物だけをイメージします。
(知らないものはイメージできませんからね)

そのため、何の指定もなく単に「僕は駅で降りた」とだけ書いてしまいますと、
それは人によって全く違うものをイメージしてしまいます。

こういった現象が起こってしまいますと、書き手と読み手とで
イメージしているものが全く違って来るのですね。

そうすると、書き手の伝えたい事が伝わらない(違うニュアンスで伝わる)という
事が起きますので、なるべくそういう表現を避けましょうと
他の記事ではお話しました。

しかし。

何にしてもそうですが、
こういった「デメリット」は、裏を返せば「メリット」に変えられます。

このイメージ違いの現象も同じです。

「曖昧な言葉を使う」→「書き手と読み手で違うものをイメージする」(デメリット)

は、裏を返せば、


「書き手と読み手で違うものをイメージしても問題ないシーンがある」
  ↓
「曖昧な言葉を使えばいい」
  ↓
「細かい描写を省略できる」(メリット)

という手法に展開できますよね。

例えば。
「僕はコンビニに入って雑誌を買い、店の外で彼女を待った」という表現の場合。

コンビニがローソンであっても、ファミリーマートであっても
セブンイレブンであっても、ストーリーには何ら関係ありませんよね。

雑誌が「AERA」であっても、「週刊現代」であっても、
全く影響がありませんよね。

しかし、
「僕は駅のホームに降りた。改札を出てしばらく歩くと、遠くに東京タワーが見えた」
という表現なら、この「駅」という表現は、具体的な駅名を出すか、
それがわかるような表現にする必要がありますよね。

もし一行目の「僕は駅のホームに降りた」の段階で、
大阪駅をイメージした読者様がいたとすれば、「東京タワー」の表現の
段階で一度イメージを作り直す事になりますよね。
(イメージの作り直しは、読者様を冷めさせる一番の失敗です)

つまり。

この二つの表現を考えた場合、
「駅」は具体的にしておかなければ、イメージ違いを起こして
ストーリーに影響を与える可能性がありますが、
「コンビニ」や「雑誌」は具体的でなくとも影響ない、という事になりますよね。

(これはあくまで例えです。「コンビニは絶対具体的にしなくていい」という
 意味ではありません。ストーリーの内容によります。おわかりとは思いますが念のため)

小説というのは長丁場です。

全てを具体的にしてしまっては、ただでさえ長い物が更に長くなり、
それだけで読み手の読む気力を削いでしまいます。

逆に、全てが抽象的であれば、「情景がイメージしにくい小説」となってしまいます。

つまり。
小説の中には、シーンによって
「具体的に書かなければならない部分」と「具体的にすべきでない部分」があるのですね。

その判断基準が何かと言えば、
色々とあるかとは思いますが例として幾つか挙げるならば、

・「ストーリーに影響するかどうか」
・「重要なシーンであるかどうか」
・「ストーリーのスピードを上げるのか落とすのか」

などがあるかと思われます。

「ストーリーに影響するかどうか」については、
上で説明したような、イメージ違いの問題の解決のためですね。

「重要なシーンであるかどうか」については、
重要なシーンはやはり具体的にした方が、(細かくイメージする分)
読み手の印象に残りますので、ラストシーンなどは具体的にした方が
良いという事になりますよね。

「ストーリーのスピードを上げるのか落とすのか」については、
具体的に書けばその分、そのシーンに居座る時間が長くなりますから
ストーリー展開のスピードが落ちます。
逆に、曖昧な言葉でさらっと書いてしまう表現なら、そのシーンを
さっと終わらせてしまう効果がありますので、
ストーリー展開のスピードアップになります。

こういった基準などを使って、
具体的に書く部分と、具体的に書くべきでない部分を使い分けてやる事が
大切になってくるのではないかと思います。

これを意識しておくだけで、
「印象に残るシーン」や「ストーリーのテンポ」や「イメージ違い」などを
書き手のイメージ通りにコントロールする事が出来るようになるのですね。

これを本当に考え始めると、本当に時間のかかってしまう事ではありますが、
そこまでしなくとも、
「ほんの少し意識しているだけで文章がガラッと変わるもの」
だと思いますので、頭の片隅にでも残しておいて頂ければ幸いです♪

文章はほんの少しの意識からです。
今回の話も大変わかりにくく恐縮ですが、
文章向上を考える時は、頭の隅で少しだけ意識しておいて下さいね。