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プロットの作り方 その1

小説では、テーマを決める事自体が非常に大変な作業になるのですが、
それが決まったという段階から、「次はどうするか」という、さらに大変な段階へ進みます。

 

テーマというのは、とても抽象的なものです。
が、テーマだけで小説が書ける事はまずありません。

あまりに抽象的すぎて、結局何を書きたいのかがよくわからない、
あるいは、ワンシーンだけが浮かんでいるけれど、それ以外を
どう書いて良いのかわからない。

そんな問題にまずぶつかるかと思います。

要は「ゴールは見えたけれど、そこへ行く道が全く見えない」という状態です。

ここからが、小説の骨組みを決める正念場です。

スポーツの場合、練習に練習を重ねて、最後の本番で結果が出るという形ですが、
小説の場合は、この最初の部分でほとんど結果が出てしまいます。
この骨組み作りで失敗してしまうと、その後はどんな素敵な表現を使っても
おそらくまともな物は出来ません。

私はよく、「小説は本番モノではない」という表現を使います。

スポーツなら試合が、演劇なら本番の舞台が、音楽なら演奏会が。
多くの芸術や運動には、最後に「本番」があります。
今までどれだけ練習しようとも、その最後の一瞬で、今までの練習の力を
出せなければそこで終わり、という「本番」がある厳しい世界ですね。

小説の場合、この「本番」はありません。
「この一瞬が勝負!」というシーンがありません。

これが小説というものの形なんですね。
どちらかと言えば、絵画や陶芸などに近いのでしょうか。

「本番」がない分、最後ではなく、最初が重要になってきます。

もう少し違う表現をしてみます。

 

スポーツの場合。

練習も大切ですが、一番重要なのは本番の試合です。ここで勝たねば意味がありません。

要は、
 基礎練習 → 応用練習 → 実戦練習 → コンディション調整 → 試合

というサイクルだった場合、もちろん最後の「試合」で最高の結果を出す事が
一番大切になってきます。

しかし、小説の場合。

 企画構想(テーマ)→ プロット作成 → 執筆 → 修正 → 応募

というサイクルになり、どこが重要かと言えば
もちろん「テーマ」であり、「プロット」です。
最後の修正の仕方や、応募の仕方などはさほど重要でもないのですね。

本番がない分、最初が重要になります。後に行く程、重要度は落ちてきます。
(もちろん手を抜いて良いという意味ではありません。
 ただ、最初でコケると、後で取り返しがつかないという意味です)

小説作りと言うと、「文章の書き方」や「校正」などの本が書店に多いため、
そこが重要なように感じてしまいますが、それらは後ろの方の工程なのですね。

本当に重要なのは、前の工程。テーマとプロットです。

 

【テーマの後にくる、プロットとは?】

プロットというのは、簡単に言いますと、「筋書き」のような意味合いです。

例えば
「主人公、学校へ行く → ヒロインと知り合う → ケンカする →恋に落ちる」
というような、ストーリーの流れだけを書いた、あらすじです。

細かい部分や表現は全く考えず、ただどのようにストーリーが
進んでいくのかを、極めてシンプルに書いた文章の事を言います。

このプロットというのは、本当に大雑把で結構です。

私の場合、このプロットの段階では、主人公の名前も決まっていない事があります。
季節や服装、場所や時間、仕草や台詞などは全く考えていません。

こういう書き方になるものですから、
極端に言えば、長編小説がルーズリーフ1枚で書けてしまう事もあります。

まずは、それで大丈夫です。

逆に言うと。
これが書けない、という事は、本当にストーリーのワンシーンだけが浮かんでいて
他のシーンが全く見えていない状態、つまり
「ストーリーがどういう感じで進んでいくのか」が決まっていないという事なのですね。

要は「最初と最後がつながっていない」という事です。

 

この「つながっていない」状態で、いきなり本編を書き始めると
間違いなく途中でつまづきます。
つながっていないのですから、当然ですよね。

この単純なプロット。これがあるとないとでは、全く意味合いが違ってきます。
(プロットは何回も書き直す事になります。一回目はルーズリーフ1枚程度の
 極めて短くてシンプルなプロットで問題ないと思います)

と言いますのも。

小説全体が何となく頭の中でイメージできていたとしても、
それは「何となく」見えているだけという事が多いのですね。
(私もこれが本当に多くて、自分でも困っています)

ところが実際にプロットを書いてみると、意外につながっていない場所があったり、
あるいは最初と最後で矛盾している場所が見えてきたりする事が多々あります。

こうして、足りない部分や、矛盾している部分、つながっていない部分などを
発見する意味で、一回目のプロットが非常に重要になります。

ストーリーを具体的にイメージするのも大切ですが、
まず全体として一つの話になるのかどうか。

ここがスタートです。

 

まず全体としてつながらない場合、いくら具体的で細かく考えたとしても
せっかく考えた物が使えない事が出てきてしまいますからね。

まずは、簡単でも結構ですので、一回目のプロット。
これを是非書いてみてください。

例えば、シンプルな恋愛物を書くにしても
急展開で進んでいく話なのか、じっくりと時間をかけて進む恋なのかによって
プロットの内容がずいぶんと違う物になってくるはずです。

書き方は本当に自由です。
自分が一番「書きやすい」と思う形で問題ないかと思います。

 

私の場合、きちっと文章で書くのが面倒ですので、
矢印を使って、ルーズリーフのラインも無視して書いていく事がほとんどです。
いきなりルーズリーフの中央(一番上ではなく)から
書き始める事も多々あります。
また、文章になっている事もあれば、「出会い」「別れ」「ケンカ」など、
キーワードだけをつないで行く事もあります。

要は、自分の書きたい物が、話として最後までつながるのかどうか。
これを試すための物と考えて頂ければ良いかと思います。

誰かに見せたり発表したりするものでもありませんので
是非、気楽に、一番自由な形で書いてみてくださいね。

次回以降は、プロットの2回目、3回目と、もう少し詳しい
ストーリーの組み立て方について語っていければと思います。