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プロットの作り方 その2

前回の記事では、プロットの基礎と一回目の下書きを解説しました。

今回はその続編、プロットを更に細かくしていくステップとなります。

一度目のプロットは、ルーズリーフ一枚で書けてしまう程に
さらっと書いて頂いて結構です。あくまで概要ですので、細かい設定
(名前、年齢、性格、癖、服装など)は特に必要ありません。

これが書ける事で、物語の最初と最後がつながる事になるのですが
実際は、これが出来るまでが大変な作業となります。

と言いますのも、私などは「あるストーリーを思い浮かんだ」という状態は
あくまで幾つかのストーリーの断片(ワンシーン)だけが見えているという
事がほとんどなのですが、人によっては、全く違う物が見えている場合も
あるからなんですね。

ストーリーをどうやって組み上げていくか。
これは本当に人それぞれのやり方がありますが、私の知る限りでは、
大きく三つのパターンに分かれると思います。

それをひとつずつ、説明していこうと思います。

 


【プロット構築方法】
  パターン1 ~キャラクターから入る~

これは、「ストーリーが浮かんだ」と思う時、メインに見えているのが
そのキャラクターだという事ですね。

性格、生い立ち、考え方、そういう物がよく見えていて、その魅力的な
人物が生き生きと動いているシーンが見えているというパターンです。
人物中心ですので、キャラクターがしっかりと立っていて、感情移入も
しやすいという利点があります。

あくまでも人物(主役)重視ですので、思い浮かぶストーリーの断片は
その人物らしさを表す物が多くなります。

この場合、人物として非常に魅力的になりますが、その分、脇役や世界観が
薄くなりがちなのが要注意のポイントです。

また、このパターンでプロットを組む場合、特に気をつけなければならないのが
「自由度が高すぎる」という点です。

人物が魅力的であるため、どんなストーリーを考えても、ある程度
面白くまとまってしまうんですね。
あらゆる可能性が検討出来る分、全体を見回した時に「バランスが悪い」
「構成がなっていない」「キャラクターの勢いだけで書いている」というような
問題が起きがちです。

人物中心で書く場合、周りの環境や世界観が「本当にこれで良いのか」と
何度も検討する必要があると思います。
そうしなければ、せっかくのキャラクターが周りの環境のせいで
個性を活かしきれないという場合がありますので要注意です。

ハリウッドの恋愛物の映画などは、特にこのパターンが多いように思います。

 

 

【プロット構築方法】
  パターン2 ~シーンから入る~

このパターンは、あくまでも「幾つかのシーン(情景)が浮かんでいる」という方法です。

ある条件(主人公はこんな感じ、脇役はこんな感じで、舞台はここ)の中で、

あらゆるパターンのアイデアが浮かび、どれをどう組み合わせるかを
考えている状態の事です。

例えば、あるスポーツ選手の小説を書く場合。
試合の直前で緊張しているシーンや、試合で仲間と励ましあい、ついに
ゴールを決めるというシーンや、あるいは練習で仲間とぶつかり合うシーンなど
幾つものシーンが沢山思い浮かんでいるという形です。

ある程度のキャラクター(性格や言葉遣いなど)も見えていて、作者自身は
映像として見えているのですが、キャラクターや世界観が固まってはおらず、
思い浮かんだストーリーの断片をどう組み合わせるかによって
作品の内容が大きく変わってしまう、とても流動的なものです。

このパターンの場合、キャラクターも世界観もシーンもある程度は
形になっていて、後は「自分が何をやりたいか」によって、頭の中にある
ストーリーの断片の組み合わせを考える作業が中心になります。

利点としては、非常にバランスがよく、作品として上手くまとまり、
(ストーリーの組み立て方の常套手段を知っていれば)
非常に入り込みやすく盛り上がりのあるストーリーを組む事が出来ます。

ただ、問題としては、キャラクターや世界観に独自のこだわりが少ない分、
無難な作品になりやすいという点が挙げられます。

「絶対にこうしなければならない」という強いこだわりが持ちにくいため、
ストーリー案はいつも流動的で、「批判されようが何だろうがこれで行く」という
強さが生まれにくいと言えます。

一般に受け入れられ易いのですが、逆にコアなファンは付きにくいという
メリットとデメリットがあります。
「広く浅く」は読まれますが、「狭く深く」は読まれないという形ですね。

ここ数年で売れた小説はこういうパターンが多いように思います。

 

 

【プロット構築方法】
  パターン3 ~世界観や価値観から入る~

これは正に「文学」と言える分野かと思います。
作者自身が、独自の意見や価値観を持っていて、作品はあくまでそれを
表現するための物だという考え方ですね。

まずはテーマと価値観、そこから生まれる世界観があります。

その中でどういうストーリーを組めば、自分の言いたいテーマが語れるかが
重要になりますので、キャラクターやストーリーは後回しとなります。

例えば「戦争の悲惨さ」というテーマで書く場合、
作者の中に、戦争に関する深い洞察と考え方がまずあって、
「それを読者の皆様に伝えるには、どういうシーンがあると良いか、
そこにハマるのはどういうキャラクターか」と逆算していく形で物語が生まれます。

あくまで価値観や世界観が重視という方法ですね。

作者に深い洞察がある分、作品としてはとにかく奥深く、内容の濃い作品となりますので
文壇や評論の世界では大いに評価されるでしょうが、逆に深すぎるため
一般に受けにくいという部分があります。

また、パターン2とは正反対に、コアなファンが出来るというケースがよくあります。

コアな日本文学ものなどは、ほとんどがこのパターンかと思います。

 


【どのパターンであったとしても…】

ここまで三つのプロット構築パターンを説明してきましたが、
もちろん、どれが良くてどれがダメという話ではありません。

それぞれの方法にそれぞれのメリットとデメリットが生まれてきます。
ここに完璧な創作方法などありません。

ただ、大切なのは、「自分がどのパターンで創っているのか」を知っておく事です。

それぞれの創り方には、それぞれの癖があります。

パターン1(キャラクター重視)では、あらゆる可能性が浮かぶため、
方向性が曖昧になる(なくても良い物まで入ってくる)という癖。

パターン2(シーン重視)では、キャラクターや世界観が弱くなり、
読者を引き付けるだけの強い意思が抜けがちという癖。

パターン3(世界観重視)では、個性が強い半面、キャラクターやストーリーが
一般に受けにくい物中心になるという癖。

一回目のプロットの後は、更にプロットを詳細に組んでいく必要があります。
その時、自分がどういう癖を持っているかを知っているか知らないかは
大きな違いとなって出てきます。

自分のやり方で強い部分は、放っておいてもアイデアがよく浮かびます。
逆に、自分のやり方で弱い部分は、意識的にそこを
補強するようにしなければ、全体として非常にアンバランスになってしまいます。

プロットは考えれば考えるほど、より詳細になり
最終的な作品に近づいていきます。

その際に「自分はどういうパターンで考えて、どういう癖があるのか」を
常に意識して、全体を見回しながら組み上げていく事を忘れなければ、
非常にバランスよく組み上げる事が
出来るかと思います。

少し抽象的な話題になりましたが、是非ご自分の「創作の癖」を
多少でも意識して頂ければ幸いです♪