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独創的な表現を生み出すコツ

きっと ウルトラマンのそれのように、
君の背中にもファスナーが付いていて
僕の手の届かない闇の中で
違う顔を誰かに見せているんだろう
そんなの知っている

もしも ウルトラマンのそれのように
総ての事にはファスナーが付いていて
僕が背中見せているその隙に牙を剥くつもりでも、
信じてみる値打ちはあると思えるんだ

       「ファスナー」by Mr.children
(アルバム「It's A Wonderful World」より)

 

この歌詞は「ファスナー」という曲からの抜粋です。
(アルバム「It's A Wonderful World」収録曲)

この歌詞で何よりも目を引くのは、やはり「ウルトラマンのファスナー」ですよね。

この曲を要約すると、
「僕達は嘘をつきながら生きている。そんなの知ってる。
それでも、僕は信じてみたいんだ」
というニュアンスになります。

そういう詩を書こうと思えば、いくらでも綺麗な言葉を並べて書く事が出来るはずなんですね。

「ウルトラマン」や「ファスナー」を使わずとも。

 

例えば
「嘘」「仮面」「背中」「裏側」
「もうひとつの顔」「知らない君」「作り笑顔」「本当の僕」…。

こういった言葉を使えば同じ内容を書けるはずです。
しかし、それをせずに、あえて「ウルトラマンのファスナー」を使った。

これがミスチルの「らしさ」であり、「感性」だと思うのです。

 

例えば「嘘」のように抽象的な言葉を使うとなると、多少の文脈の違いはあれど
誰が書いてもよく似た文章になってしまいます。

抽象的な言葉というのは、それほどに数がありませんから、
どうしてもそうなってしまう。これはもう技術力うんぬんではなく、
仕方ない事なのかも知れません。


そこで独自性を出すには、抽象的な言葉を一部、
具体的な言葉に置き換える必要があると思います。

その一つが、この「ファスナー」という言葉。

「ウルトラマンのファスナー」と言うと、
それは確かにその「物」を表す言葉ですが、同時に
「それは仮の姿で、本当の中身が見えないように隠されている」という
ニュアンスをイメージさせます。

 

要は具体的な「物」を使って、抽象的なものを連想させる。
連想なので、言葉で語ってはいないけれど、読者には確かに
感じてもらえる。

そして、「物」を表す言葉は大量にありますから、同じような
文体になりにくい、独自性が出やすい、というメリットがあるんですね。

ミスチルは「嘘」という言葉を、「ファスナー」に置き換えました。
私なら、おそらく「カーテン」あたりに置き換えると思います。

あなたなら、きっと、また違う物に置き換えるでしょう。

それが個性ですし、独自性にもつながっていくのだと思います。


抽象的な言葉は人と同じになりやすく、具体的な言葉で連想ゲームを
していくならば、それは個性的になりやすい。

そんな法則を思い起こさせてくれる歌詞でした。