小説力を上げる習慣

小説での「リアルさ」とは?

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今回は小説の文章法そのものではなく、
その裏にある、考え方についてのお話です。

小説家同士で書いていると、
いつか必ず通る問題というのがあります。

それが、「どこまでリアルさを追求できるのか」という問題です。

これは、書く小説の分野によって、結果がまるで違ってくるんですね。

これを少し考えていきましょう。

まず「リアルさ」と言うと、
大きく分けて二つの意味があると、私は思います。

一つ目は「自分がそこにいるかのように感じられる事」。
二つ目は「実際にそれが正しい事(事実である事)」です。

一つ目の、自分がそのシーンにいるように感じられるというのは、
実際は文章力である程度クリア出来てしまうのですね。

文章力のある方であれば、
たとえそれが、どれ程難しいシーンであっても、
読者をその場にいるように感じさせてしまう事が可能です。

これは、小説を書く方からすると、一番あこがれる技術の一つですよね。
実際問題としても、技術を磨く事でクリア出来ますから
あまりここは大きな問題にはなりません。

 

そして、二つ目。
「実際にそれが正しい事(事実である事)」というリアルさ。

これが非常に難しい問題です。

例えばミステリー小説で考えてみましょう。

三人称で書いていて、犯人が被害者を刺して
逃亡したというシーンがあったとしましょう。

この場合、一つ目の「そのシーンにいるような感じ」というリアルさは
わりと簡単に表現する事が出来ます。

表現手法の技術を磨く事で、これは簡単にクリアが可能です。

問題は二つ目の意味。つまり「それが事実かどうか」です。

先ほどのミステリーで言えば、
「人を刺した時の感情、思い、考える事」というのは
実際にそれを体験した人でなければ、わかりません。

つまり。
本当にリアルに犯人の心情を表現しようと思うと、
実際に自分がそうならなければならないという論理になるんですね。

しかし、実際にそんな事をすれば刑務所に入ってしまいますから
小説は書けなくなります。

リアルさを追求すると事件を起こさなければならないけれども
事件を起こすと、小説そのものを書けなくなる(刑務所に入る)。

こういう矛盾が「リアルさの追求」の中にはあるように思います。

ただ、ミステリーの場合は、現代の事(が多い)ですから
「絶対に出来ない」とは言い切れません。

逆に、絶対にリアルではあり得ない分野というのもあります。
それが、SF、ファンタジー、歴史物です。

これは、そもそも今の時代の話ではないですから
その時代(その世界)の事を知ろうと思っても、
私達は知る事が出来ません。

(歴史物の場合、ある程度は資料でわかりますが、
 その時代の人々が普段どういう感覚で生活していたのかまでは
 どうやっても知る事が出来ません)

ましてファンタジーやSFは
今の現代では実在していない(想像の)世界ですから、
そこに「事実であるというリアルさ」はあり得ません。

全てが想像の世界なんですね。

二つ目の意味での、「本当のリアルさ」。

これは、書ける分野が非常に限られてきますし、
実際にこのリアルさを追求しようと思うと、作品を一つ書くのに
莫大な時間と労力がかかってしまいます。

これをどう考えるのか。

人によって答えは様々です。完全な正解などありません。

・二つ目の(事実であるという)リアルさを捨て、想像だけで書こうと考える方。
・想像をやめ、ノンフィクションへ進む方。
・その中間を目指す方。

本当に様々です。どれが正解というのはありません。

ただ、自分が小説を書く以上は、
この問題をどう考えるか、自分なりの答えを持っておいた方が良いと思います。

そうした答えを持っていますと、
「どこまでリアルに書くのか」と迷った時、
自分を助けてくれる道しるべになってくれるからなんですね。

ちなみに、あくまでご参考として、私の個人的な「答え」を書いておきたいと思います。
(これが正しい訳ではありませんが、あなたの考え(答え)の助けになれれば幸いです。)

個人的には。

「リアルさというのは、一つ目(自分がそこにいるかのように感じられる事)が
最重要であり、二つ目のリアルさ(事実であるという事)は
あくまで、一つ目のリアルさをサポートする物だ」
と考えています。

ちょっと抽象的ですので、もう少しわかり易く解説しますね。

私は、読んで下さる方が、その小説の世界にどっぷりと
ハマって入り込んで下さり、そこで何かを感じて(考えて)
頂く事が最重要だと考えています。

例えば、あるシーンを表現する時に

「現実味を優先すると盛り上がりに欠け、
 盛り上がりを優先すると現実味に欠ける」

こういう場面に出くわした場合。

私は自分の価値観が
「読者の皆様がどっぷりハマって下さり、そこから感動して
何かを考えてくださる事」が最優先ですから、後者を選びます。

盛り上がる作品にし、そこで感動して、何かを感じてもらいたい。

そう考えます。

逆に、小説を厳密に書きたいという方は、私と反対の選択をするでしょう。

これはどちらが正解というのはありません。

「自分が、何のために小説を書くのか」
これによって答えが変わってくると思います。

普段、作品をどうやって仕上げるのかを考えていますと、
何のために小説を書くのか、という事は考える機会が減ってしまいますよね。

しかし、たまには「何のために書くのか」という原点に
かえってみる事も大切です。

せっかくの機会ですので、是非一度考えてみて下さいね。

それは、あなたの作品のリアルさにも
きっとつながって来ると思います。


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