感性を磨く 文章力を上げる

ニュアンスの違いを使い分ける方法

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さて、今回のテーマは「ニュアンス」についてです。

小説に限らず、普段の会話の中でも、
「微妙なニュアンス」というのはよくありますよね。

ほんのちょっと言い方が違うだけなのに、
ある時は「Yes」に聞こえるし、ある時は「No」にも聞こえる。

そんな、前後の文脈によって意味が変わってしまうような表現方法。

外国語にももちろんありますが、
日本語にはとりわけこういう表現が多いような気がします。
(日本語が断定を嫌う言語だと言われる所以かもしれませんね)

小説だけではなく、普段のメールや
メルマガ、ブログ、ビジネス文書……、あらゆる場面で
ニュアンスというのは生まれてきます。

そんな中で、読み手の心を惹きつける文章というのは、
どんな文章であっても、「その一言が持つニュアンス」を
うまく使っているんだと思います。

今回は、その「ニュアンスの違い」を
コントロールする方法について考えてみたいと思います。

まずは、例をいくつか挙げてみますね。

 

<例1>

主人公(女性)が女友達と一緒にパーティに参加していたとします。
この時、近くにいた男性と何の気なしに会話しましたが、
あとでその男性は友達に(嬉しそうに)、その事を自慢していました。
どうやら「彼女(主人公)は俺に気がある」と思いこんで
しまったようです。

この様子を少し離れたところから見ていた主人公。
隣にいる女友達に言いました。
「期待させちゃったかな?」

さて、この「期待させちゃったかな?」という表現。

あなたでしたら、どんなニュアンスとしてとらえられますか?

私の感覚で言うと、
結構軽いノリで話していて、その隣にいる女友達も
「別に良いんじゃない?」という感じの答えを返してくる……。

そんなニュアンスの話し方ではないかなと、感じました。

では、この「期待させちゃったかな」の文章を少し
変えてみたいと思います。

例えば。

例2.「期待させちゃった、かな」

例3.「期待させちゃったかな……」

 

例2や3のような文章だったら、どんなニュアンスになるでしょう?

人によって感じ方も変わってくると思いますが、
私の感覚で言いますと、
例2の方は、やや戸惑いがある感じです。
(「そんなつもりじゃ無かったんだけどな……」と続きそうです)

例3の方は、明らかに彼(喜んで自慢している男性)がかわいそうで
少し罪悪感を感じているような雰囲気が感じられます。

もちろん人によって感じ方は違いますが
少なくとも、最初の例よりは、重い(罪悪感がある)表現に
なっているのではないでしょうか。

では、この例で考えてみますと
「ニュアンスの違い」は一体どこから生まれているのでしょうか?

例1、2、3で違う部分は
「?」と句読点と「……」のみですよね。

使っている言葉は同じでも、
句読点などの小さな違いがニュアンスの違いになってしまう。

これが、ニュアンスをコントロールする一番のポイントだと思います。

この小さな違いの中でも、特に重要な役割を果たすのが、「……」です。

ちなみにこの「……」。
「てんてん」と読んでしまう気持ちは重々わかりますが、
正確には「三点リーダ」と言います。

また、「‥」を「二点リーダ」と言い、
小説の世界では、二点の使用はせず、全て三点リーダで統一するのが
ルールと言われています。

さて、この三点リーダの役割ですが。

まずは、再び例を挙げて考えてみましょう。

 

<例1>

主人公(女性)は、恋人に対して非常に後ろめたい事を
してしまいました。

後悔した主人公は、彼氏に素直に謝る事にしました。

事情を説明し、頭をさげると、彼は小さな声で言いました。

「いいよ」
 

……いかがでしょうか?

この「いいよ」という書き方では、
「非常に後ろめたい事」なのに、軽すぎる答え方に
見えませんでしょうか?

また、彼がどういうニュアンスの答え方をしたのか
いまいち見えて来ませんよね。

それでは、三点リーダを付けて、文章を少し変えてみましょう。

例2.「……いいよ」

例3.「いいよ……」

この二つ、皆さんならどのように解釈しますでしょうか?

私の感じたニュアンスとしては、
例2の方は、いろいろ思う事はあるけど、許そうと決めて言った言葉、
例3の方は、とりあえず「いいよ」と言っているけれど、本当はもっと
言いたい事がある。けれど、あえてそれを言っていない。

こんな感じにとらえました。

感じ方は人それぞれかと思いますが、
例2と3とで、微妙に意味合いが違ってくるのは確かですよね。

では、その違いをどう使い分けるか。

ひとつの考え方として、
映画のワンシーンを想像してみるという方法があるように思います。

例えば、例2「……いいよ」の場合ですと。

主人公が謝った後、カメラはすぐに彼氏の顔をアップでとらえているような
シーンが想像出来ますよね。そのシーンで、「……」がありますから、
数秒間は無言の彼の表情が映っている事になりますよね。

こういうシーンを実際みてみると、やはり
「数秒間は悩んだけど、意を決して『いいよ』と言った」
ような感じに見えますよね。

逆に、例3「いいよ……」の方を考えますと、
主人公が謝った後、すぐに彼氏は「いいよ」と呟くも、
その後に無言の彼の表情が数秒間映っている……。
そんなシーンが想像できますよね。
(その無言のシーンには、主人公が何か言いたげな
 雰囲気が醸し出されるように思います)

このように、三点リーダを入れる場合、
ニュアンスを掴むために、一度その場面を映像にしてみて、
頭の中で「どういうニュアンスに見えるだろうか」と
考えてみるのも良いのではないかと思います。

また、今回は三点リーダのみに焦点を当てましたが、
句読点もやはり同じ考え方です。
こちらは
「三点リーダよりももっと短い空白の時間」という考え方で
同じように使う事が出来るかと思います。

句読点や三点リーダをうまく使いこなす事が出来れば、
あえて多くを語る事ない、「無言の表現」が生まれます。

ほんの些細な違いではありますが、
文章の「含み」に関わる大切な部分だと思います。

ちょっとしたニュアンスを出してみたいと
思った時、思いだして頂ければ幸いです。

ありがとうございました。


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