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キャラクターの設定をより深く掘り下げるには

さて、今回のテーマは「キャラクターの設定をより深く掘り下げる」です。
 

具体的には、
先日、私が心理学関係の本を読んでいる時に
ふと思い浮かんだアイデアがありましたので、それについて
書いてみたいと思います。

(私自身も、先日思い浮かんだばかりですので
 まだ実際には試していません。ただ、案外面白い方法かも知れないという
 思いがありますので、皆さんへのシェア(分かち合い)の意味で
 今日のコラムにさせて頂きましたのでご了承ください)

 

 

皆さんも既に体験されている事かと思いますが、
小説を書く前には、ある程度の「設定作り」が必要になってきますよね。
 

この時、どこまで決めるかは人それぞれですから、一概にこうとは言えません。

 

ただ、最初に考えるのは、例えば

「主人公は男子高校生。普段は大人しくて控えめだが、音楽にかける
 情熱だけは強く、ライブ会場に入ると人が変わったように積極的になる。
 趣味はもちろん歌とギター。甘いもの好き。恋愛には消極的」

と、いうような、結構「ざっくり」とした所から考えて行きますよね。

その後で、ストーリーに当てはめていくと
徐々にキャラが固まってきて、どういう人物なのかが
(作者自身も)書きながら見えてくる、というケースが多い事かと思います。
 

この段階で、ですね。

「その主人公が依存している物や事を、あらかじめ設定段階で考えてみる」
というアイデアはどうでしょうか。

「依存」という言葉がキツイようであれば、他の言い回しで
考えてみても良いかも知れません。

例えば。
「ついついやってしまう事」
「止めたいのに止められない事」
「辛い時や、疲れた時に欲しくなる物、事」
「どうしても手放せないもの」

 ……等と言い換える事も出来るかと思います。
 

 

これだけではわかり辛いので、
一度、自分自身に置き換えて考えてみて下さい。

例えば、あなたは非常に疲れた、あるいは辛い事があった時、
気晴らしのために何をしますか?

 

……ちょっと考えてみて下さい。

どうでしょう。

他の方(友人や家族)はどうだと思います? 自分と同じでしょうか?
そもそも、想像がつきます?

相当に身近な人物でないと、案外知らない、あるいは思い浮かばないものじゃないでしょうか。

 

私も考えてみたのですが、
家族までが精一杯で、友人や知人のそういった部分は、考えた事もなかったですし
考えてみても思い浮かんで来ないんですね。

でも、自分自身のそういった「辛い時についついやってしまう事、行動」って
結構、自分の本質を突いているような気がしませんか?

私自身の場合、数年前の例で言いますと、
「会社帰りに途中の駅で降りて、バッティングセンターに行く」というのが多かったように思います。

スーツ姿で閉店前のセンターに入り、
「ちくしょー!」と(心の声で)叫びながらバットを振り回していました。
(野球の経験がないので、基本的にボールに当たらないんですけれど。
 どうやら、「振り回す」事が大事だったようです)

今思うと、昭和のドラマみたいですね(笑)。
 

でも、やけ食いはしないし、誰かに愚痴の電話もしない。
結局自分ひとりで、身体を動かして何とかしてしまう。
そんな解消法なんですね。

こんな数年前の私自身を
もし小説のキャラクターとして設定するなら、どうなるでしょう。

「問題解決をひとりで済ましてしまい、人に頼る事をしないタイプ。
 人に弱みを見せたくない? あるいは、過去に何かそういう経験があった?
 自分のプライドを結構大切にするタイプ」

 ……という感じでしょうか?

掘り下げていくと、もっと面白い設定が出来そうですよね。
 

 

他のケースも考えてみましょう。

もし女性の場合で、結構おしゃべりや甘いものが好きな方で、
高校まではお堅い感じの家にいて、それが嫌で東京へ出て
大学デビューをした、という感じの方だと、どうでしょう。

「信頼している友達を呼んで、甘いもの食べまくりながら、ひたすら愚痴る」
という行動になったりもするでしょうね。

あるいは、
「女友達だけで夜遊びに出て、派手にカラオケで歌ってみる」か
「バーゲンに行って、買いまくる!」なのか。

何にしても、私自身が男ですので
あまりリアルにどうなるか、想像がつきません。

これを読んでおられる女性からすると、
「そんな事しないよ、そういう時は○×だよ」
と思われるかも知れませんね。
 

 

でも、その「○×」の部分が、一番リアルに自分を表している行動に
なるかも知れませんよね。
 

それが「食」の方向へ行くのか、「遊び」の方向へ行くのか、
あるいは「死ぬ気で働く」なんていう方向なのか、
それとも「誰も知らない、私の趣味に走る」という方向か。

いずれにせよ、大切なのは
「何故そうなのか」
「その背景には何があるのか」
「何故そうなったのか」
「何故、他の方法ではダメなのか」

という質問をして、掘り下げていくと、
自分自身についても、小説のキャラクターについても、
より深い理解へと繋がっていくのではないでしょうか。

 

一番最初の例に戻ってみますね。

例の、音楽好きな男子高校生で消極的な彼の設定です。

もし、彼が辛い時にやってしまう行動。
これが「叫ぶ事」だったとしたら?

心のどこかで、
「大声で叫び、世間や環境を批判し、
自分を抑え付ける『見えない力』に反抗し、吼え、全てを吹き飛ばしてしまいたい」
というような、破壊的衝動を持っていたとしたら?

何故それを持ってしまったのか。
その背景は? どういう価値観があるのか?
何故それは普段、前面に出ないのか?
何故抑える必要がある? 彼の感じる『見えない力』とは?

色々と質問がありますよね。
これに応えていく事で、またそのキャラクターの違う側面が
見えてくるのだと思います。

……いかがでしょうか。

設定を考える時、どうしても抽象的な表現で
「積極的」や「明るい」と書かざるを得ませんし、
そのキャラクターの人生の事細かについて、イチイチ決めていく訳にもいきません。

しかし、的を絞って詳細を考える分には、時間も労力も用意出来るかも知れません。

出来れば、その人物の最も深みをとらえる部分を「的」にして、
じっくりと考えれば、深い理解に繋がるはず。

では、その「的」をどこにするのか。

それが、「自分がついやってしまう事」「止められない事」という依存関係の中に
答えがあるのではないだろうか、というアイデアのご紹介でした。

正直、こういう質問は自分自身の内側に
深く入り込んでいく内容なので、あまり人にも聞けませんし、
自分自身へも質問したくないものが多いと思います。

しかし、こういうネガティブな感情の湧き上がる場所に、
「自分が見たくないと思っている、本当の何か」があるでしょうし、
そこに自分自身の、そして小説の深みがあるのではないのかなと。

そんな考えが、皆さんにも伝わっていましたら幸いです。
 

 

今回は小説の設定におけるアイデアのご紹介でしたが、
もしこの考え方にご興味がおありであれば、一度試してみて頂ければと思います。
 

今回も最後までありがとうございます。
あなたの創作が更なる高みへと届きますよう、心から祈っております。