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小説家としてのオンリーワンの「何か」

今回のテーマは、
「プロの小説家になる為には、何が必要なんだろう」
という点を考えてみました。

実は先日、このメルマガのある読者様から
一通のメールを頂戴しました。そこには、
「あなたの小説は、文章はとても綺麗にまとまっているけれど、
人を惹きつける『何か』が不足しているように感じました」
というご意見がありました。

私自身も、自分の小説を読んでいて
同じような事を感じていましたし、これが一番難しいポイントなのかも知れないと思ったんですね。

プロとしての、人を惹きつける『何か』。

それは一体何なんだろうと。
 

そうして考えていきますと、
小説家として活動するのは、ある意味で「芸能人」と同じ要素が
必要なのかも知れない、という事を思ったんですね。

ふと考えてみますと。
私達がテレビで見ている芸能人、あまり「普通やなあ」と思う人はいませんよね。

やはり皆、何かしらの芸があります。
(芸があるから「芸能人」なんでしょうが…)

ただ、それが「どういった芸(共通点)があるだろう」と考えますと、案外、答えがありませんよね。

面白い人もいれば、暗いキャラを売りにしている人もいますし、
演技がうまい人、喋りが絶妙な人、歌が上手い人、生き方が面白い人、
可愛い(格好良い)人、濃い人、変な人、天才肌の人…。

本当にまちまち過ぎて、
「こういった能力があれば、芸能人としてやっていける」
という共通点が見当たりません。

ただ、それぞれの芸能人が自分だけの、
「他人とかぶらない特徴」というものを持っています。

それを売りにしているから、オンリーワンとして
テレビで活躍出来ている……。そんな世界ですよね。

 

小説家としての『何か』。

それは、ある意味で芸能人と同じなのかも知れません。

芸能人は
「テレビの前で緊張しない」「喋りが最低限は出来る」
という能力は当たり前に持っていて、その上で
自分のオンリーワンを全面に押し出します。

小説家で言えば、
「文章がうまく書ける」というのは、持っていて当たり前の能力で、
その上で、作品の中に自分だけの「オンリーワン」がある……。
それが、プロの小説家として愛されていく秘訣になるのかも知れません。

 

 

■『何か』を育てるには?

では、「何か」をとにかく身につけましょう、と言っても
それでは何をどうして良いのかさっぱりわかりませんよね。

正直、私もその答えを持っている訳ではありません。

ただ、うっすらとですが、
「こうじゃないかな」と思うところはありますのでそれをご紹介させて頂きますね。
(あくまで私の個人的な推測ですので、参考程度にお読み下さいね)

 

人を惹きつけるオンリーワンの『何か』、
それはやはり芸能人の場合と同じように、
「他の人とかぶらない、自分だけの特徴を全面に打ち出している事」
ではないのかなと思います。

そう考えますと、
今度は、「自分だけの特徴」とは何かと考えていく事になりますよね。

答えは人によって全く違います。

ですが、確実に言える事は、それを見つけるためには
「自分自身」を深く知っておく必要があるという点です。

「他の人とかぶらない、自分だけの答え、自分だけの特徴」

それは、自分を深く知らなければ、見出す事は出来ません。

例えば、
「今は携帯小説で、泣ける恋愛ものを書けば人気が出る」
と考えて、「泣ける恋愛もの」を自分の特徴だと決めて
書き始めても、それではやはり上手くいかないのではないかと思います。

自分が本当に「泣ける恋愛」について
真剣に日々考えていて、それに対する自分なりの「答え」を持っているなら
大丈夫かと思いますが、そうでなく、単に「今なら恋愛小説が人気が出る」と
思って書く小説が、他の人の書く真剣な恋愛小説と比べて
より「人の心を引く何か」があるかと考えると、…やはり結果は見えていますよね。

自分はどういう人間なんだろうか。
自分は何が好きで、何が嫌いなんだろうか。
自分は、どういう哲学を持っていて、何を信じて、何を信じないのだろうか。

……こういった事をしっかりと知った上で、
小説にそれらを織り込んでいく(それがまた大変ですが)、
そうする事で小説というのが、だんだん、自分にしかない「何か」を
持ち始めるんだと思います。

少し私の小説を例に説明してみますね。

私の場合。

暴力的な表現や、性的な表現、泥沼のシチュエーションなど
重く暗いものがどうしても書けないんですね。

最低限、書けるように努力はしましたが
それでも、重く暗いものを自分の売りにして
それをメインにした小説を書こうとは思えませんでした。

それよりもむしろ、自分がお世話になった人たちの言葉や、
友達と過ごした忘れられない日々の素晴らしさを
小説を通じて感じてもらえたら、それが一番うれしいと考えました。

結果、私の小説は
「軽い」「もっと暗さが必要だ」「重い部分がなく、人生の深みが出ていない」という
批評を頂く事になりますが(この部分が弱みですね)、逆に
「泣ける」「読み終えた後に、切なくなった」「主人公の気持ちに強く共感できた」
というありがたい感想も頂く事になりました(この部分は強みと言えるかと思います)。

私の場合はこういう状況ですが、
この中で、「強みの部分をより深めていき、弱みの部分は最低限は出来るようになろう」と
考えています。

弱みを克服する事にパワーをかけるのも大切ですが、
そうしてしまうと、良い部分も悪い部分も平均的になってしまい、
「普通」の平均的な小説になるんじゃないかという想いがあるからです。

小説という世界で、
「自分だけのオンリーワン」は、決して全体的な平均点ではなく、
突出した部分が輝く事で生まれるんじゃないだろうかと。

そう考えているからです。

この例がご参考になれば良いのですが、
私は、このように
「自分をもっと知って、それを活かして特徴にし、
 その強みの部分をもっと強めていく事で、オンリーワンが生まれてくるのでは?」
という考えですし、「人の心を惹きつける何か」を生み出す道の一つではないかと思っています。

なかなか抽象的で、かつ、これといった答えを
見出すのが難しいテーマでしたが、今回の内容があなたの創作のお役に
少しでも立てるようであれば、これ以上の幸いはありません。

明日からの創作のさらなる発展をお祈りしております。