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小説のタイトルの付け方

さて、今回のテーマは
「小説のタイトルの付け方」についてです。

小説のタイトルというのは、本当に千差万別ですし、
明確なルールのない部分でもありますから、
「こうしたら良いんですよ」という答えも、無いに等しいのかも知れません。

ただ、文章の書き方もそうですが、
やっぱり他の方がどのようにタイトル付けをしているのか、と
知っているだけで、自分が考える時の参考になるのは事実だと思います。
 

 

そこで、今回は
「こうしたら読者の皆様の気持ちを引くタイトルになる!」
という明確なノウハウではなく、
「どういう考え方でタイトルを付けているのか」
「どういう種類のタイトルが多いのか」
を、私の知る範囲ではありますが、考えてみたいと思います。
 

 

【その1. :タイトル付けの際の基本的な考え方】
 

小説のタイトルを考える時、最も一般的な方法としては
やはり、「その作品を一言で表現する」という手法ですよね。

最もわかりやすいのは、
「吾輩は猫である」ではないでしょうか。

……もう、解説もいらないくらい、見たまんまですね(笑)。

 

ただ、「作品を一言で表現する」と言っても、大きく分けますと、
「作品で起きている出来事を表現する」(吾輩は猫である、のように)と
「作品のテーマを表現する」という方法があるように思います。

作品のテーマを一言で表現する、というのは
非常によく使われている手法ですよね。

 

テーマを抽象的な言葉で表現しますから、とても詩的な雰囲気の
漂うタイトルが多いようにも思います。

ただ、どちらの手法であったとしても、
やはりタイトルをどう付けていくか、という部分を考えますと
基本は「作品の中身を連想させるもの」であるべきなんだと思います。
 

 

【その2. :タイトル付けの種類】

では、ここからは具体的に、どういうタイトルの付け方があるのかを
見ていきたいと思います。

作品の内容との関連性は、あまりにも個別の内容になりますので
ここでは、「言葉の選び方」から考えてみたいと思います。

 

 

種類1.体言止め

これは、作品のタイトルの最後が名詞で終わるパターンです。

実際に書店で本のタイトルを見ていきますと、
非常によく見かけるタイプだと思います。

たとえば、
「ノルウェーの森」や「坂の上の雲」、「蹴りたい背中」
などもそうですよね。
 

この手法の場合、タイトル付けが簡単にできるというメリットがありますので
まずはこの手法で考えてみる、というのが大切だと思います。

ただ、問題として考えられるのは、
「逆に、ありきたりになりすぎる」という点があるかと思います。

要は、過去も含めて
小説のタイトルの多くがこの手法で作られていますから、
よほど面白い言葉の組み合わせにしておかないと、タイトルだけで
目を引くという事が難しいのではないかと思います。

(その意味では、タイトルの素晴らしさで人気のある
 「限りなく透明に近いブルー」や「世界の中心で愛を叫んだ獣」は
 それだけで目を引く言葉の組み合わせが出来ているのかも知れません)
 

 

種類2.助詞で終える

これも古くからある手法ですが、体言止めほど数多く
使われているわけではありませんので、まだ目新しく見える手法と言えるかも知れません。

この手法は、「~で」「~へ」などの、助詞で
作品のタイトルを切るというやり方ですね。

具体的には、
「アルジャーノンに花束を」
「ティファニーで朝食を」
「いつか眠りにつく前に」
「ぼくの手はきみのために」
……等々、探してみると結構見つけられると思います。
 

 

どのタイトルを見てもそうですが、
作品そのものを知らなくても、何となく詩的な雰囲気が、
タイトルそのものから感じられませんか?
 

この「助詞で終える」という手法は、
詩を書く際によく用いられる手法ですので、タイトルで使えば
それだけで詩的な印象を残す事が出来る方法です。

ただ、デメリットがあるとすれば
読者様が、本を読み始める前に、すでに「詩的な雰囲気のある作品なんだろうな」という
先入観を持って読んできますので、そういった雰囲気とは全く違う作品の場合、
読者様の期待と、作品の内容がマッチングしないという出来事が起きるリスクも含んでいます。

(逆に、詩的な雰囲気の作品を書いているのであれば、タイトルは このパターンで行く方が良いかと思います)

 


種類3.文章の形にする

最近、こういう種類のタイトルが増えてきているように感じています。

文章として成り立つ言葉を、タイトルに持ってくる手法ですね。

具体的には、
「そして誰もいなくなった」
「誰がために鐘は鳴る」
「号泣する準備はできていた」
等でしょうか。

ぱっと見ても、今までの体言止めの手法と
圧倒的に違いますから、それだけで目につきますよね。

しかも。
この手法の強みは、「タイトルと同じ文章を、作品中に入れる事で印象を強める事ができる」
という点にあります。

 

上の例で言えば、
小説の最後の行で「そして誰もいなくなった」と入れたり、
主人公に悲しい出来事が起きた時に
「号泣する準備は出来ていたのだ」のような表現を入れてやる事で、
そのシーンを読者の皆様に、強烈に印象づける効果が現れます。

厳密に言えば、体言止めのタイトルでも同じ事は出来るのですが、
こちらの方が文章になっている分、インパクトはより大きくなるのではないでしょうか?
 

種類4.セリフをそのままタイトルにする
 

この手法は、まだほとんど見かける事のない方法です。

作品中にあるセリフを、そのまま小説のタイトルにしてしまうんですね。

具体的には、「そのときは彼によろしく」などが
このパターンになると思います。

作品中の印象深いシーンや、ラストシーンで
「そのときは彼によろしく」
という決め台詞を入れてやれば、そのシーンの印象強さは決定的となります。

先ほどの例では、タイトルを地の部分(説明の文章)の中に入れましたが、
この手法では、主人公達のセリフとして入れますから、種類3の方法の発展版と
言っても良いかと思います。

セリフをそのままタイトルにすると、
やはり今の普通の感覚では違和感を覚える事が多いですが、
うまいセリフ回しを考えてやれば、非常に効果的となりますので
今後こういう手法が増えてくるのではないかと考えています。

 

……いかがでしょうか。

まだまだ方法はありますし、こういった手法に分類しづらいものも
多数あるかと思います。

タイトルというのは、最も個性が表れる部分ですし、
それだけで、読んでもらえるかもらえないかの
分かれ道になる事もあります。

自分の作品に一番合うタイトルは何なのか。
それは、どの方法で考えていけばいいのか。

作品を完成させた後で、もう一度考える時間を
とって頂く機会になれば、とても幸いです。

あなたの作品が、更なる高みに届く事をお祈りしております。