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作品の持つメッセージの伝え方

さて、今回のテーマは作品を書いていくにあたって
是非とも考えておきたい「メッセージ性」についてです。
 

小説に限らず、音楽や映画、詩やドラマなどにおいても
一つの作品を創り上げると、そこにはやはり作者の「メッセージ」がありますよね。

それぞれの作者が、それぞれのやり方で
自分の伝えたい想いを「メッセージ」として
作品の中に表現しています。

そんな中で、このメルマガを読んでおられる皆様は
「小説」という方法を選んでおられる方が大半だと思います。

その「小説」という方法には、どういうメリットがあるのか。
それを考えてみたいと思います。
 

 

例えば、あなたが人生の中で色々な経験を重ねて、
ある日、「どんなに辛い状況でも前向きに生きていこう」というメッセージを伝えたくなったとします。

そうすると、一番直接的な方法としては
誰かにそのメッセージを話すか、あるいはWEB上のブログなどで書いていく方法がありますよね。

これが一番ストレートな方法ですが、
この方法は、「強く伝わるけれども、伝わる人が限られてしまう」という
メリットとデメリットがあるように思います。

 

と言いますのも。
 

先ほどの例のように、あなたが「辛い状況でも前向きに生きよう」という
メッセージを伝えたくなり、それをブログに書いたとしますよね。

この場合、あなたと同じように辛い状況に
今、まさにおられる方が読みますと、とても心に染みるメッセージとなります。

しかし、「今はそう辛い状況でもない」という方が読まれますと
「確かにそうだよね」と思って頂く事は出来ますが、心に染み渡る程に
入り込んでいくかと言われると、少し疑問な点が残ります。
 

短い言葉で書いたメッセージというのは、
「今、自分と同じ状況にいる方へは強く伝わる」という特性がありますが
そうでない方には、「言葉」としてしか伝わらないと、個人的に思っています。

(読んでもピンと来ない文章というのは、書き手と読み手の状況が
 まるで違うからなのかも知れませんね)
 

 

作品の分類で言えば、
詩やコラムなどは正にその特性を活かした分野ですから、
同じ状況の方へ強く伝わる反面、状況が違う方への伝わり方はどうしても弱くなりがちです。

詩やエッセイの分野で、
ある作者への固定ファンの方々が多くおられる反面、
ベストセラーになる程、広く人々に受け入れられる作品が少ないのは
こういう「メッセージの伝わり方の特性」があるからなのかなと思っています。
 

逆に、小説はどうかと考えますと、こちらにもメリットとデメリットがあります。

小説の場合、
作品そのものが長くなりますから、メッセージ性のある部分というのは
作品の中でもごく一部になりますよね。

書く量が多いわりに伝えられる量はそこまで多くないというのは
デメリットと言えるかも知れません。
 

 

しかし、読者様は作者の書いたストーリーの中で
もうひとつの人生を歩んでいきますので、その過程で色々な「経験」をする事になります。

つまり、先ほどの「辛い状況の中でも前向きに生きよう」というメッセージを
伝えようと思えば、作品の序盤から中盤にかけて、その「辛い状況」を
実際に書いていく事で、読者様も、作者と同じ「辛い体験」を
本を通して経験する事が出来ます。

そうすると、
最終話近くで「前向きに生きよう」というメッセージを伝えた時、
それは単に口頭で話した場合や、詩・ブログ等で
書いた場合に比べて、読者様の心に染み渡る可能性が高くなりますよね。

要は、作者の伝えたい「辛い状況の中でも」というものが
 実際にどういう状況なのか、ちゃんと伝わっている訳です

これが、小説のメッセージ性が強くなる一番の理由ではないのかな、と考えています。

 

 

そうすると。

実際、小説を書いていく上で
どういうメッセージの伝え方をするのが一番良いのでしょうか。

これは、作者の創り方にもよりますので
一概に「これが正解」というものはありません。

ただ、先ほど述べたような「メッセージ性の特徴」を考えると、
やはり、作品の序盤~中盤にかけては、「状況作り」が大切になってくる
個人的には考えています。

あなたが作品の中で伝えたいメッセージは、
あなたが実際に経験した出来事の中で、真剣に感じたものだと思います。

それを伝えようと思いますと、
あなたがそれを感じた状況(経験)と同じ(あるいはよく似た)出来事を
読者様にも本を通して経験して頂き、その後に初めて
あなたの伝えたいメッセージを書くべきなではないかと思います。

 

よく、小説を書いていますと
自分の伝えたい事が頭に浮かんで、すぐにそれを表現したくなりますが
実際、小説の序盤部分では、そのメッセージを書いたところで
読者様がそれを「受け入れられる状況」にまで来ていない事が多いんですね。

 

そうすると、せっかく書いたメッセージが空振りに終わってしまう事に
なりますから、やはり、「本当に伝えたいメッセージをどこで書くか」という
タイミングが重要です。

そのタイミングを考える時に思い出して頂きたいのが、
「読者様が、自分と同じ状況にまで来ているかどうか」
という点です。

メッセージ性の強い作品というのは、
メッセージの書き方そのものが上手い事ももちろんですが、
そこへ辿り着くまでのストーリーの書き方、進め方が
良く出来ていて、そのメッセージを読んだ時に
すんなり受け入れられる「状況創り」が出来ている作品なのではないのかなと。
そう思います。

 

小説に限らず、文章全般でも言える事ですが、
「伝わる文章」というのは、伝えたい核心部分の書き方が
上手いだけではなく、むしろそこへ辿り着くまでの
プロセスが上手い、という事なのかも知れませんね。

文章を書いていかれる中で、ほんの少しでも思い出して頂いて、
「私の伝えたいメッセージは何だろう、それはどこで書くべきなんだろう」
と考えるきっかけになれれば、これ以上の幸せはありません。

あなたの創作が更に上手く進みます事を心から願っております