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浮き沈みのあるプロットを意識する

さて、今回は、長編を書く際の「ストーリーの組み立て方」に
焦点を当ててお伝えしていきたいと思います。

長編小説の場合、数百ページ(人によっては数千ページ)のボリュームが
ありますから、ストーリー自体も、非常に長い物となります。

そうしますと、長い物語の中で、主人公達には当然のように
浮き沈みが発生してきますよね。

恋愛小説で例えますと、
二人が出会い、好きになって付き合うという「浮き」の部分もあれば、
その後にケンカをして気まずい空気になったり、
あるいは一度別れたりする「沈み」があります。

その後に、もう一度お互いの良さを知って、縁を戻すという「浮き」が
またやってくる……。
こういう形で、物語の中に「浮き」と「沈み」が必ず繰り返されます。

短編の場合は、「沈み」の暗い部分だけを書き続けて
一本の作品を仕上げる事も、あるいは可能かも知れませんが長編の場合はそうはいきません。

ほぼ間違いなく、両方が必要になります。
 

私達の人生も同じですよね。

嬉しい事、良い事ばかりが続く時期があれば、その逆もあります。

しかし、それが永遠に続く事はありません。

良い時期の中にも嫌な事が起こりますし、
嫌な時期の中にも良い事が起こります。

良い事と悪い事が、交互に繰り返されています。
要は、その「良い時期」や「悪い時期」が、長いか短いかの差しかないですよね。
人生で考えると、これが普通に理解出来るのですが
小説を書いている最中には、意外と忘れてしまう事があるんですね。
 

書き手の側の感覚で言えば、「忘れてしまう」という状況はよく理解出来ます。

確かに、「良い時期」を書いている時は
書き手自身がノリにノっていますから、テンポよく書いていく事が出来ますよね。

そういう状態の中で、急に「悪い出来事」を起こそうとしますと
それまで書いていたリズムや感覚を、一旦ストップして
全く違う気持ちで書き始めないといけない……。

これは、書く側からすると非常にパワーがかかる、辛い作業です。

それを身体で理解している為、
ついつい、「良い時期」をダラダラと長く続けて書いてしまう……。

非常によく理解出来ますし、私にもよくあります。

 

しかし。
これは読み手の皆様から見れば、致命傷となる可能性があります。

小説の本質は、他の人の生き方を、本の中で体験する事です。

せっかく読者様が、あなたの作品の中に入り込んで
もう一つの人生を体験して頂いているのに、
良い時期ばかりが、あり得ない程に長く続いてしまいますと
「嘘っぽい」「こんな事あり得ない」「現実感がない」と感じられてしまい、
そこで一気に冷めてしまうんですね。

小説は、出来るだけ本当の人生そのものに近い方が良いと思います。
それを書ききろうと思いますと、
やはり人生そのものに合わせて、「浮き」と「沈み」をバランス良く
配置していく事が必要になります。

盛り上がる小説というのは、この「浮き」と「沈み」の
配置の仕方が、非常に良く出来ていると思います。

 

では、具体的にどうすれば
その「浮き沈みのバランス」を上手く取る事が出来るのか。

方法はそれぞれに合ったやり方があるでしょうし、
考えなくとも感覚で出来る方もおられるかと思いますが、
ここでは私なりのやり方を、紹介させて頂きますね。
(かなり変わったやり方ですので、これが正解とは思わないで下さいね)

 

私が行っている事。

それは、「ストーリーの浮き沈みをグラフにして書いてみる」という方法です。
例えば、横軸を時間(ストーリーが進む毎に右へ進む)とし、
縦軸を浮き沈み(良いエピソードなら上へ、逆なら下へ)とし、
文章を読みながら、自分の感じた感覚をグラフへ書いていきます。

読んでいて幸せな気持ちになれるなら、グラフを上へ、
辛い気持ちになるならグラフを下へ。

 

こうして書いてみますと、
自分なりに良く出来ているなと思えた作品の場合、
グラフは綺麗に上下を繰り返して進みます。

逆に、やや失敗したかなと思う作品の場合、
グラフが一直線に上や下へ進み続けている事が多くあります。

こういったグラフを書いてみますと、
盛り上がる作品というのは、最初は小さな上下を繰り返しながら、
作品が後半へ行くにつれて、徐々に上下へ振れる幅が大きくなって
いっているように思います。

 

つまり、作品としては
最初の方は地味な事件や出来事が続きますが、
物語が進むにつれて、それらが大きくなり、
主人公の感じる喜びや苦しみも徐々に大きくなっていき、
最終話でそれらがピークへ達する……。

そんな形のストーリー構成が上手く出来上がっているように思います。
 

重要なポイントは、
「喜びや苦しみが、作品の後半になる程大きくなる」という所です。

1.喜びと苦しみが両方ある
2.それらが後半へ行く程大きくなる

この2点を両方とも満たしている場合、
ジャンルを問わず、面白い作品に仕上がる可能性が高いのではないかと、
そう考えています。

これを理解しようと思いますと、
まず自分の作品がどうなっているか、
そして他の方の作品がどうなっているか。

これを知ってみるのが、良いきっかけになるかと思います。

もしストーリー構成が上手く行かない、とお悩みの場合は
是非ともこれを思い出して、自分の作品と他の方の作品を比べてみて下さいね。

あなたの創作のお役に立つ事が出来れば幸いです。