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情景描写をどこまで書くか

小説は映画やドラマとは違います。情景描写においても、もちろんそうです。

映画であれば、貴方は画面に映った物はどこを見ても自由ですよね。
主演の顔を見なくとも、背景のぶらんこを見ていてもOKです。

 

しかし小説の場合は書かなければ見えません。
「ここは公園で、ぶらんこがある」
と言わなければ、ぶらんこは見えません。(厳密には少し違いますが、ここは話をシンプルに…)

 

ここが問題となります。

 

描写をすれば背景はしっかりと写りますが、逆にストーリーの流れを止めてしまうというデメリットがあります。

 

例えば 主人公が学校に来たとします。その時、情景描写を始めれば、その間は主人公は動きません。
「グラウンドには昨日の雨の跡があり…」と情景描写している間は、物語も主人公も停止しています。
たとえ隣に脇役の友人がいたとしても、友人も一緒に止まっています。

映画で言えば、カメラがグラウンドを映している状態ですから、この間は、主人公達には動きがありません。

(なぜなら、読者は頭の中で、その情景をイメージしてシーンを作っている最中ですから、物語や会話が同時進行は出来ません)

 

つまり。

情景描写をすればするほどに、物語が止まってしまい、ストーリー展開が遅くなってしまうというデメリットが生まれてしまう訳ですね。

例えるなら、情景描写とストーリーは「天秤」のようなものでしょうか。

右の秤にはストーリーの流れ、左の秤には情景描写。
ストーリーのスムーズな流れを優先すると描写が犠牲になり、描写をリアルにするとストーリーが止まってしまう…。

 

確かに、色々な小説論を読んでいますと、描写のしすぎはストーリーの流れを止めてしまうので、少ない方が良いと書いてあるものが多く感じられます。

しかし描写を少なくすると、漫画で言うと背景が真っ白な状態になってしまいます。
(小説では、言葉で表現していないものは原則として、読者側にはほとんど見えていないからです)

たとえどんな良いストーリーでも、背景がいい加減では、どこか冷めてしまいますよね。

 

ここがあらゆる小説家の悩むところと思います。

私も必ず、完成した小説は情景描写の量だけをチェックするために何度か読み返します。

 

この二つの割合は、かなり個人の好みが反映されますが、

情景描写さえ書きまくればリアルな小説になる訳ではなく、むしろ多すぎる情景描写はストーリーを止める、という点をいつも頭のどこかに置いておいて頂ければ、格段にストーリー展開と情景描写のバランスがよくなるかと思います。