読者との関係

文学論や「難しい批評」は、本当に必要?

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文学論とは何だろう。
時々そんな事を考えます。

大型の書店に行けば、そこには文学論という棚があります。
そこに並ぶ本をめくると、

「私小説というのはそもそも…」
「春樹は異端児であり…」
「構造がストーリーを導き…」
と色々な事が書かれています。アンチテーゼ、イデオロギー、イデア。
わかる言葉、わからない言葉まで様々ですよね。

 

実は私、昔は「文学」が大嫌いでした。
正確に申し上げると、「文学論」が大嫌いでした。

難解な言葉が並び、それが権威を持つような、もっと簡単に言ってしまえば「難しく批判してる俺、カッコイイ」としているような空気を感じてしまい、嫌いになってしまいました。

今でも、そういう物がいくつかあるとは思っています。好きな物もあれば相変わらず嫌いな物もあります。
多くの文学論をトライしましたが大抵はわからずじまいでした。
もちろん大変参考になる物もありました。それを書かれた作家さんには今でも感謝と尊敬の気持ちを抱いています。

 

そんな「わかる文学」を書いてくださった数少ない話を読んだ時に感じた事がありました。

「文学論」や、難しい批評は、本当に必要なんだろうか? 

「漱石論」「春樹論」のように、有名作家の作品を文学的な立場から分析した本がありますよね。これは本当に私達に必要だろうか、と考えました。

例えば私は司馬遼太郎が好きですが、同じ作品を貴方が読めばきっと感じる物も考える事も、好きも嫌いも違うはずですよね。文章を読む時、一番大切なのは「読み手が何を感じるか」、だと思います。

 

読んで感動できれば良い。
何かを思えばそれで良い。

私はそう思います。必要なのは文学的構造でも、作品の持つイデオロギーでもないと思います。

 

こうして小説書き方講座という、小説の書き方論を書いている身ですが、私はこういう「書き方論」を振りかざして、「君の作品は構造的なイデアの欠陥をああだこうだ…」と批評したいとは思っていません。

小説を書いたり、小説を勉強したりする理由は人それぞれですが、

私の理由は 「読んでくださった方にとって、何か感動するなり考えるなりしてもらうキッカケになれれば嬉しい」
というシンプルなものです。

小説は、「誰かの人生に一瞬でも役立つ事が出来れば、それでOK」というものじゃないかなと。そう考えています。

文学論や構造論を知らなくても、偉い批評家の方々に嫌われても、

実際に読んでくださった読者の皆様の中に、感動してくださる方が多ければ、それで十分に「成功」ではないでしょうか?

 

逆に、偉大な批評家の方々に好かれて、有名な賞を取ったとしても、

その本が全く売れずに、たいして読まれる事なく在庫入りしては意味もありません。

(最近の文学賞は、ほとんどこの形だと私は思っています)

 

あなたが、小説を書く理由は何でしょうか?

あなたが、小説を勉強する理由は何でしょうか?

その原点を、もう一度考えていただきたくてこのような文章を書いてしまいました。

 

賛否いろいろとおありかと思いますが、この文章そのものが、

「あなたにとって、何かを考えるキッカケになれれば」、私はとても幸いです。


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