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抽象的な言葉の中に、具体的な言葉を

宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」という曲の中に、面白いフレーズがありました。

 

-誰かの願いが叶うころ、あの子が泣いている-

 

というフレーズです。

なんでもない、歌詞にありがちな一言のようにも見えますが、私はこれが
ある意味、これからの文章の主流になる書き方ではないかなと思っています。

この「誰かの願いが叶うころ、あの子が泣いている」の最も肝になっている部分は
「あの子」です。

ここが「誰か」だった場合は、今までにもありがちな文章(詩)の書き方です。

つまり。

「誰かの願いが叶うころ、誰かが泣いている」は普通ですが
「誰かの願いが叶うころ、あの子が泣いている」はこれからの文章だと思うのです。

小説においても詩においてもそうですが、
こういう抽象的な考え方(哲学)を言葉にする場合、本当に抽象的な言葉だけで語ると、ずいぶんと実感(生活感)のない、うわごとのように聞こえてしまいます。

特に近年の小説の世界では、哲学的な事を直接語るのはダメ、という雰囲気がありますので尚更ですよね。

そういう感じを与えないように、抽象的な考えを語る方法が「あの子」にあるような、「具体的な一言を入れる」という方法です。

彼女の歌詞にしても、言っている事は抽象的ですが、「あの子」の一言があるだけで、実際に誰かが喜んでいる裏で、女の子が泣いているシーンが具体的にイメージ出来ますよね。

こういう方法は、他のどんな言葉にでも使えると思います。

例えば。
「星の見える街」と書くと、これは綺麗な言葉を並べた「なんとなく」の表現になりますが
「星の見える村」と書くと、本当にそういう場所の紹介文のように見えてきますよね。

これも、「街」という言葉があちこちで使われすぎたため、もはや抽象的な言葉になっていますが、「村」という単語は、まだ具体的な言葉であるため、実際の村をイメージできる(抽象的になりにくい)のだと思います。

小説を書く時は、どうしても抽象的な考え方の語りを避けられませんが、
その時は、是非こういう具体的な一言を入れて、生活感のある表現に変えてみて下さいね。

きっと、わかりやすい、入り込みやすい表現に変わってくれると思います。
抽象表現でお困りの際は是非。