« | »

自分らしいテーマの選び方

さて、今回のタイトル「自分らしいテーマを探す」です。

 

非常に難しい言葉ですよね。

まず私自身の事を振り返って見ますと、やはり色んな小説を書く中で、何度も何度もテーマが変わりながら、ようやく「答え」に近いところまで、何とか辿り着けたような気がしています。

私が最初に長編を書いたのは、17歳の頃、高校二年生でした。

当時は、SFに興味があったものですから、当時書いた小説も、やはり近未来もののSF小説でした。

この時は、小説の事がよくわかっていないながらに
「自分の小説のテーマは『人と機械の友情』だ、そこから人と人との友情を表現するんだ」
と、燃えていたのを今でも覚えています。

今思い返すと、今の自分が持っているテーマとはどうやってもつながらないテーマで、
こうしてお話しするのも少し恥ずかしいくらいです(笑)。

そして、何度も書いては没にして、書いては没にしながら何度もテーマを変えて来ました。

その時々によって、「これがテーマだ」と思うものがあったりなかったり。
本当に様々です。

ここで、ちょっと考えてみたいと思います。

「自分らしいテーマ」とは。
そもそもから考えてみると、「テーマ」とは何でしょうか。

人によりけりでしょうが、
私は「作品の中で一貫して訴えているもの」だと思います。

この「一貫して」が肝でもあるし、テーマを書く難しさだと思うんですね。

というのも、長編にもなれば、書いていく内に最初に設定したテーマを忘れてしまう事もあるでしょうし、逆にいつもテーマばかり語っていると、とても「うるさい」長編小説になりますよね。

理想を言えば、作品の中で常に考えていながら、バランスよく語っている。
これがテーマを活かす方法(の一つ)です。

こういう難しさのあるテーマを、どうやって自分らしくするのか。

これは私の個人的な考えですが、
答えは「自分の中に強くあるものをテーマにする」だと思います。

ここで伝えたい「強くある」とは、
いつも気にかけていて、いつもそれについて考えて(悩んで)いて、その事について強い思い入れや、悩みや考えがいつも自分の中にある、といった意味です。

 

例えば。

仮にファンタジーや戦記ものを書く時、
「愛と勇気をテーマにすれば感動的になるかな」と思ってテーマを決めるとしますよね。

しかし、私個人的には、
これが自分の中に強くあるのでなければ、それを描くべきではないと思います。

何故かといえば、
自分の中に本当に強くあるものでなければ、どうしてもその場限りで考えた内容になってしまいます。
「このテーマだったら、こういう事を書けば良いかな」と頭のどこかで思ってしまう。

寝る時もご飯を食べる時も、お風呂でもお手洗いでも、ずっとそのテーマばかりを考える訳ではありません。

小説を書く時だけ考える。

そういうレベルに(望んでそうしているのではないにせよ)どうしてもなってしまいます。

しかし、それでは小説としては薄い内容になる事が多いんですね。

普段から考えている内容ではないので、余程の発想力のある方以外は、やはりどこかで見たような内容になってしまいます。

逆に。
いつも強く考えている内容、
例えばいまのあなたの一番の悩み。それをテーマにしたとすれば。

 

普段からいつも頭を悩ませて、「ああでもない、こうでもない」と考えていますよね。

こうして色々なパターンで考えているテーマであれば、小説を書いている時も、自然と「あの時、あんな事で悩んで、こう考えていた」とすぐに思い出す事が出来ます。

普段から何度も考えていますから、自然とそれに対しての深い洞察や、他の人が思いつかない考え方、物の見方も
(そのテーマについては)身に付いています。

小説に必要になる、深い考え方や想い。
それは、寝ても覚めてもいつも考えていなければいけない。

やはりそういう部分は、必要だと思います。

ちょっと考えて、ちょっと思いついた事だけで書いてそれを相手に伝えて感動してもらおうとしたところで、それはどんな技術があっても難しいものです。

技術だけが上手くて、伝えたい想いが薄いものだと、それはとてもつまらない小説になってしまいますものね。

せっかく書くのですから、自分の熱い想いや悩み、訴えをちゃんと書きたいと思いますよね。

それをしようと思うと、普段からテーマについて考えている必要があります。

だからこそ。
いつも自分が考えている、悩んでいる事をテーマにして小説を書く事が大切だと思うのです。

それは何も格好良いテーマである必要はありません。

「愛と勇気」について、いつも悩んで考えている人なんてそうそういるものでもありません。

例えば、あなたが仮に劣等感について悩んでいるのであれば、
「劣等感」というテーマで書いて良いと思います。

「劣等感というテーマで、ファンタジーものや歴史物を書いたら変だよ」と思われるかも知れませんが、私は、それは良い事だと思います。

ありきたりの「愛と勇気」をテーマに、ファンタジーや歴史を書くより
いっそ「劣等感」という難しいテーマでファンタジー・歴史を書く方がいっそう人間味があって、面白いと思います。

そして、そういう組み合わせをあえて選んだ作者さんに尊敬の気持ちを覚えると思います。

これは、文学ものでも恋愛ものでもエンターテインメントでも全て同じ事だと思います。

そのジャンルによって、向き不向きのテーマというのは、確かにあります。

しかし、「私の書くこのジャンルには、こういうテーマが向くから」という理由で、自分があまり興味のないテーマについて書くくらいなら、むしろ、組み合わせが多少難しくても、自分が一番考えて悩んでいるテーマを使って真剣に書いていく方が、小説書きとして、正しい道のような気がします。

もちろん、こういった問題には「答え」というものがありませんから、これが正しいとは限りません。

ただ、

「世間ではこう言われているから」
「こうした方が売れるらしいから」
という理由だけで、あなたの書きたい事、真剣に考えている事、あなただけが書ける事、そういったものを無駄にしてほしくない、と思うのです。

 

色んな国があって、色んな価値観があるように、
小説の書き方、テーマの選び方ひとつとっても、立場や状況、環境、時代によって本当に考え方は違います。

「これが絶対的な正解で、これを選べば幸せなんだ」という答えはありません。

ただ、何が答えというものはありませんが、あなたにとって、一番納得のいく形で、これからも小説を書いていってもらえればそれが一番最高の形だと、私はそう思っています。